「――最初は同封されていた手紙を読んで、俺を引き取ることの出来ない母方の誰かが、罪悪感からせめてもの支援として陰ながら送ってくるのだと思ってました」
深月先輩の膝の上で組み合わせている手が、祈っているポーズにも見えてくる。
まるで、今からでもその相手があさ兄じゃなくて、話の通りであって欲しいと願う様に。
「母が生きていた頃から親戚付き合いなんて皆無だったので、誰なのか見当もつかなかったし、気持ちが荒んでたこともあって、同情心からの自己満足で施されるなんてまっぴらだって、感謝の欠片もなくて」
そこで、深月先輩は「すみません、深山さんのことを言ってる訳じゃなくて、相手は血縁関係のある人物だとばかり思っていたので……」と、一言断りを入れると、再び話に戻った。
「それなのに、これからのことを考えると頼らざるを得ないのが悔しくて、半ば開き直って、それならそれで遠慮なく使ってやるって――そう思って、特に差出人を探そうとも思いませんでした」
「それじゃあ、どうして俺だと……?」

