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きっと、今までの私だったら断っていたと思うけど、深山くん相手ということもあって、大胆にもいつもと違うことをしてみたくなった。
あの人がいなくなってから、ずっと頑張ってきたけれど、誰かとこんな風におしゃべりする時間すら持てなくて、そんな相手もいなかったから、自分でも気付かない内に様々な不安が募って押しつぶされそうになっていたみたい。
深山くんと話している内に訳もなく涙がこぼれてしまったことで、初めて自分が精神的に追い込まれていたことを自覚した。思い出すと、いい大人が泣くなんて、みっともなくて恥ずかしくなるけれど。
深山くんのお言葉に甘え、彼の仕事が終わるまでの間、一人でゆっくりして気分転換をしよう。その帰りには、深月のクリスマスプレゼントを買ってこようと思う。
深月もあっという間に高校生になってしまって、正直、今の男の子は何をあげたら喜ぶのか判らないから、ここは同い年のお子さんがいる深山くんに頼らせてもらおうと思う。
私が深山くんの娘さんのクリスマスプレゼントのアドバイスをして、深山くんには深月のクリスマスプレゼントを一緒に選んでもらおう。
恋をしているわけでもないのに、この歳になってこんな風に明日を楽しみに思えるのは、本当に久しぶり。
明日のことを深月に話しておこうかと思ったけど、変に誤解させてしまいそうだから内緒にしておくことにした。
明日のことや、それからクリスマス当日のプレゼントを渡した時の深月のことを想像すると、今から楽しみで仕方がない。
深月の心から喜んだ顔が見られますように。
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