「あさ兄は、大学辞めたこと後悔してる?今、不幸せ?」
昨日、伊月さんにも訊ねたことと同じことを、初めてあさ兄本人に問い掛ける。
もし後悔していたとしても、あさ兄は私相手に『後悔している』なんて答えるはずもないけれど。
それでも、少なくとも嘘をついているか、いないかくらいは、私でも見極められる。
緊張しながら返事を待つ私に、あさ兄が言葉を選びながら答えてくれた。
「――まったくしてない訳じゃないけど、あのまま在学していたら、まひるたちを支えることは出来なかっただろうし、だから、きっと今以上に後悔してたと思う」
それに、その選択や今現在を不幸だと感じたことはないよ、と話すあさ兄の声に、嘘は一切感じられなかった。

