あさ兄たちと深月先輩、どちらの態度も私に対しての優しさであることには変わりないけど、だからこそ、あの時、あの一言で、私は深月先輩に恋をしたんだ。


いつも『まあまあ』や『フツー』、あるいは『いまいち』とかしか言わなかった深月先輩だったからこそ、あの一言が胸に響いた。


『今日のは、旨い』


そう言ってくれた、あの瞬間に、私は恋に落ちたんだ。


「深月先輩は、不器用だけど――すごく、誠実な人なの」


昨日、千紗や伊月さんと話してから、深月先輩のことをずっと考えてた。


私はこれからどうすれば良いんだろうって。