だけど、そう言われると、そんなことないのに、って思えて仕方がなくて。
少しだけ苛立った気持ちと、それでも美味しそうに食べてくれる二人に対して、嬉しさと申し訳なさが綯い交ぜになった感情を抱くことがあった。
「それも二人の優しさだって、ちゃんと判ってる。けどね――」
息を吸って、乱れそうになる感情を整え、深月先輩の名前を口にした。
「けどね、深月先輩は正直に言ってくれたの」
たまごサンドを作った時も、甘いたまご焼きを作った時も、いつだって正直に言ってくれた。
「美味しくない時は、美味しくないって。――私、それが嬉しかったんだ」
正直に言ってくれたことも、その上で残さず食べてくれることも。

