突然、自分に話を振られたあさ兄は
「馬鹿静夜。迂闊なのはどっちだ」
呆れた様にそう言って、セイ兄を軽く睨んだ。
確かにセイ兄は、余り甘い物を好んで食べないけれど、たまご焼きだけは別だと思ってた。
それはあさ兄にも言えることで、セイ兄が作る時も、あさ兄が作る時も、うちでは昔から決まって甘いたまご焼きだったから。
それが当たり前になっていたから、二人もてっきり、たまご焼きは甘い方が好きなんだと思ってたのに。
朝食を食べ終えたセイ兄は、自分のお皿をシンクに運ぶと、今日は日直だからと一足先に家を出た。
さっきからずっと黙ったままの私に、あさ兄が名前を呼ぶ。
まひる、って呼んで、気にするなよ?と優しく言いながら、顔を覗き込んできた。

