だって、二人を避けるってことは、今まであった私の()り所がなくなってしまうってことで、それがすごく辛い――。


「まひる。避けてないって言うなら、ちゃんと俺の目を見て言えよ」


セイ兄の私の腕を掴む手に、さっきより力が込められる。


自分の気持ちを上手くコントロール出来ず、反射的にその手を思い切り振り解いた。


「セイ兄だって、私に言えないでいることがあるじゃない!それなのに、私にだけ言わせようとするなんてずるいよ!!」


強くそう言い放った後、セイ兄の顔は見れなくて、下唇を噛みしめて、泣くのを堪えながら一気に階段を駆け下りる。


俯いたまま駆け下り、階段が次第にボヤけて始めたその時


――ドンッ


階段の踊り場のカーブで、人にぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさ――」


顔を上げて真っ先に視界に飛び込んで来たのは、半月ぶりに見る深月先輩だった。