「とにかく、何があったのか話してみろって」
腕を掴まれたまま背中を向けている私を、セイ兄は強引に自分の方へと向かせた。
話してみろって言うけど、じゃあ、昨日、お母さんの話を聞いちゃったって言ったら、セイ兄はどうするの?
私が、セイ兄やあさ兄からお母さんを奪ったんだよね?って言ったら、どう思うの?
絶対、私以上に傷付いた顔をするじゃない。
セイ兄やあさ兄のそんな顔なんて、見たくない。
「まひる、何で俺たちのことを避けてんだよ?」
「別に、避けたりなんてしてない」
セイ兄やあさ兄が私に傷付いて欲しくないって願うのと同じで、私だってセイ兄たちに傷付いて欲しくない。
だけど、そう思う反面、胸に秘めたまま知らないフリをして、セイ兄にもあさ兄にも話せないことで無意識に避けてしまうことが辛い。

