「これ以上、まひるには傷付いて欲しくない」


そう言ったあさ兄の言葉に胸が締めつけられた瞬間、続けて聞えたのは


「――こうなると、彼が、うちの母親が亡くなった原因を知らなかったことがせめてもの救いだな。まぁ、知っていたところで、まひるに告げることはなかったかもしれないが」


またしても私の知らない真実を匂わす言葉。


「知るわけねーだろ。まひるを産んで亡――「静夜、それだけは口外するなよ?」


あさ兄が、途中でセイ兄を遮った。


だけど、最後まで聞かなくても判る――お母さんが、私を産んだから亡くなったって、言おうとしたことが。


信じたくはないけれど、それなら納得のいくことが多々ある。


ずっと不思議だった。


あさ兄たちとばかり撮られることが多かったとはいえ、私と一緒に写っているお母さんの写真が1枚もないことが。