覚束(おぼつか)ない足取りで自分の部屋へと向かう。 その手前で、セイ兄のことが気になってセイ兄の部屋をノックをしてみると、すぐにドアが開いた。 「……朝陽に、全部聞いたのか?」 「うん……」 「そっか。その割りに、泣いてないんだな」 セイ兄は、私がもっと取り乱して号泣すると思っていたらしい。 あさ兄から聞いた過去の話に、強いショックを受けてはいるけれど……。 「なんか、頭の中はぐちゃぐちゃなのに、気持ちが追いついてこなくて……」