私はその時、母方の叔母さんと一緒に家にいたから、病院での出来事は当然知らずにいて。
だから、クラスメイト以上の関係にあると思わなかったセイ兄と深月先輩の二人が、どうしてこんなにも険悪なのかずっと疑問だった。
あんなにもセイ兄が深月先輩に対して辛辣だったのは、単に深月先輩を嫌ってたからじゃない――憎んでたから、だったなんて。
「……あさ兄も、セイ兄と一緒の気持ちなの?深月先輩のこと、憎んでる……?」
「さぁ……どうだろうな」
自分でも本当に判らない、といった感じのあさ兄の口調。
それは、どこか正直もう忘れたいって言ってる様にも聞える。
「彼はともかくとして、彼のお母さんを恨む気持ちがないと言ったら、嘘になるかな……」

