深月先輩のお母さんと、うちのお父さんは同級生で、その子供も同級生同士。私に至っては恋人同士だなんて――。


同じ誕生日に運命を感じて、深月先輩との出会いをロマンチックに捉えていたけれど、今となっては皮肉な運命としか思えなくなる。


「搬送された先の病院に向かった際に、俺たちは深月くんと一度対面していて……その時に、彼は俺に言ったんだ。俺たちの父親が、古川くんの母さんを誘ったんだろって」


その所為で母さんは死んだんだ、って――。


あさ兄が口にする深月先輩の言葉に、思わず耳を塞ぎたくなる。


私の中のお父さんは、いつも私たちを大事にしてくれていたし、お母さんのことを大切そうに話してくれた。


私たちの目に映っていたお父さんは、ニセモノなんかじゃなかったって信じたいのに。


それなのに、お父さんの思い出が砂の城みたいに脆く崩れそうになる。


「静夜はそれにキレて、うちの親父がそんなことするはずない、誘ったのはそっちの方に決まってるって、売り言葉に買い言葉の言い争いになった」