あさ兄の言葉に、頭がついていかない。


「どうし……っ、お父さんが……深月先輩のお母さんと、一緒だった、の?」


喉が張り付いて、上手く声が出せない。


「それは判らない。……弔問客の話の中で、二人が高校の時の同級生だってことまでは判ったけど、それ以上のことは何も判らなかった」


――私のお母さんが亡くなったのは、私が一歳の時らしい。


それからずっと、お父さんは男手一つで私たちを育ててくれた。


何年も一人で頑張る姿に、お母さんのことが忘れられなくて、再婚するつもりはないのかな?なんて思ったこともあった。


だって、私に話してくれるお母さんとの思い出話には、いつも愛が感じられたから。


だけど実際は違っていて、もしかしたらお母さんと結婚する前からずっと、深月先輩のお母さんと――なんて、悪い予感が芽吹く。


それを打ち消すかの様に、あさ兄がまたギュッと手に力を込めた。