あさ兄はセイ兄が出て行ったのを確認すると、私の隣に腰を下ろした。
あさ兄の体重で、アイボリーのソファが少しだけ沈む。
肩と肩が触れ合うほどの距離から、珍しくあさ兄が緊張していることが、ひしひしと伝わってきた。
「……どこから、どう話せば良いのか……その、俺もちょっと戸惑ってる」
フッと笑ったあさ兄の顔がいつもより弱々しく見えて、思わず、あさ兄の膝の上に置かれた手に自分の手を重ねる。
すると、あさ兄は自分の手を裏返して、私の手を組み合わせる様に繋ぎ直した。
いわゆる、恋人繋ぎ。
いつもなら振り解くところだけれど、正直、私も怖気づきそうなくらい緊張していたから、あさ兄にギュッと握り締められたことで安心し、少しだけ心が落ち着いた。
「……お父さんの事故、セイ兄が言ってた通り、深月先輩にも関係があるの?」

