「じゃあ、寝る。寝て、明日学校で深月先輩に訊くからいい」
私には教えたくない内容だからこそ、きっと、あさ兄たちも深月先輩の口から私の耳に入れるくらいなら自分たちで――と思うはず。
そう踏んで、わざとあっさり引き下がった私のセリフに、セイ兄は舌打ちをし、あさ兄と視線を交わした。
アイコンタクトの中でどんな意思疎通を行ったのかは判らないけど、わずかに思案した後、あさ兄が軽く首を振って、ため息を吐き出した。
「俺から話すから、静夜は部屋に行っててくれ」
「何でだよ?」
「お前はこの件では、すぐに感情的になるだろ?」
余計にややこしくなるから、とあさ兄が言う。
セイ兄は顔を歪めつつ、渋々とそれを受け入れると、黙ってリビングから出て行った。

