「おーい、まひるー?戻っておいで?」
あさ兄の言葉で我に返り、いつの間にか強く握り締めていた手をパッと開いた。
そしてその手で、ぶつかりそうなくらい間近にあった変態あさ兄の顔を、思いっ切り押しのける。
「とにかくっ!セイ兄があさ兄に水上くんのことを報告した所為で、あさ兄が私の彼氏だなんて突拍子もない嘘を、水上くんに吹き込んだんだからね!?」
むぅ……と、片頬を膨らませてセイ兄を睨む。
すると、一拍遅れてセイ兄が突然吹き出した。
「何、朝陽、ンなこと言ったの?想像の斜め上を行き過ぎなんだけど」
「静夜、お兄様と呼べ、朝陽お兄様と」

