あさ兄が上からトントンと布団を叩いてくる。
泣き過ぎた所為で、「……な、に?」と問う声が鼻声になった。
「ティッシュ」
いつも、このタイミングの良さがあさ兄だ、なんて思って、また泣きそうになる。
欲しいと思っていた物をタイミング良く差し出され、手を伸ばしてティッシュを二枚掴む。布団から顔を出し、ティッシュに鼻を押し付けることで顔を隠した。
「まひる、顔見せて?」
あさ兄が私の顔を覗き込んでくる。
「やだ。今、最高にブサイクになってるもん……セイ兄にも笑われたし」
そう言っているのに、再びベッドの端に座ったあさ兄は、上半身だけ捻って私の方を向くと、細くて長い先で私の前髪をそっと優しく掬って横に流した。

