だから、もしもこの先に辛いことや悲しいことが起きたとしても、あさ兄たちが側にいてくれる限り、不幸になんてならないよ――。


そのことを伝えたくて、判ってほしくて、でも、どう言葉にすれば良いのか判らない。


目尻から溢れてくる涙を、ギュウギュウと布団に押し付けながら短く(はな)をすする。


もう自分でもどうして泣いているのか判らなくなってきて、だけど一向に涙は止まらない中、あさ兄が立ち上がる気配を感じた。


いい加減、布団の中が息苦しく感じられ、あさ兄が部屋を出て行ったら布団から出ようと、あさ兄の気配に耳をそばだてる。


すると、部屋から出て行こうとしていたあさ兄が、なぜかまた戻ってきた。


「……まひる、ほら」