「セイ兄……」
「別に今すぐにとは言わないから、その内ちゃんと教えろよ?」
まひるの好きになったヤツ、と聞えたかと思ったら、突然視界が塞がれた。
それは、セイ兄が私に頭から布団を被せた所為。
羽毛で出来た軽いそれを退けて顔を出すと、セイ兄はもう私の部屋から出て行くところで。
セイ兄の後ろ姿と入れ違う様に、今度はあさ兄が部屋に入って来た。
「……まひる」
何でだろう、あさ兄を見た途端、止まったはずの涙がまたゆっくりと込み上げてくる。
どうして良いのか判らなくて、とっさに布団を被り直して閉じこもった。

