嘘をつく時、そこには真実も織り込むのがコツだって、何かで耳にしたことがある。
今はまだ全部を白状する気になんてなれない。
やっと深月先輩と上手く行き始めたばかりだし。
今はまだ私が一方的に好きなだけで、付き合ってはいないという話にしておけば、そんなに大事にはならない……はず。
「そもそも、今日一緒に出掛けておきながら、それで付き合ってないとか言われても、信憑性ゼロなんだけど」
突然、横から口を挟んできたセイ兄を睨んだ。
「一緒に出掛けた訳じゃないから」
途中でバッタリ会っただけ、という私の嘘を、あさ兄が見破ったかどうかは判らない。
ただ、「その、まひるが好きな人、誰なのか教えて?」とあさ兄が微笑んだ。

