意味は違うかもしれないけど、今の私の心境としては、虎と狼に挟まれて逃げ場がない。
あさ兄一人だって、上手くかわす自信がないのに、セイ兄が加わったら尚の事。虎で手一杯のところに狼まで現れたら絶体絶命だ。
「もう!余計ややこしくなるから、セイ兄は入ってこないで!」
「さては、俺の言ったこと当ってんだろ?」
それは、そう……なんだけど……。
「そうじゃなくて――」
「まひる、静夜、とりあえず落ち着いて」
あさ兄が、静かに私たちを宥めた。
口を噤んだ私とセイ兄を見て、あさ兄はテーブルの上で手を組み、「まひる」と、穏やかな口調で話を切り出してきた。

