「――それで、さっきの男は誰?」
「男?まひる、今日、男と一緒だったのか?」
案の定、あさ兄の言葉にセイ兄までもが大きく反応した。
「だから、友達だってば……」
「何年何組の誰?友達なら、言えるだろ?」
「どうしてあさ兄に、いちいちそんなことまで言わなくちゃいけないの?」
「つーか、そいつは本当に“友達”なのかよ?まひるに男友達なんて、いないだろ?」
私の正面にはあさ兄。隣には立ったまま私を見下ろすセイ兄。
前門の虎後門の狼って感じだけど、あれって逃げ場がないって意味じゃなくて、一つの災難を逃れたら別の災難に遭遇するって意味だっけ?

