タイミング良くホームへ入ってきた電車へと深月先輩が乗り込み、去って行く電車を見送っていると、突然ポンッと肩を叩かれた。 「まひる、今の男、誰?」 いつもより少し……ううん、かなり低めの声。 まるで、今の雨空みたいにどんよりと重く、不機嫌な空気。 背後からハッキリと伝わってくるそれは、あさ兄が発しているものだって、振り返らなくても判る。 「と、友達だけど?」 動揺する気持ちを隠し、表情を何とか繕(つくろ)うと、思い切って背後を振り返った。 「それにしても奇遇だねっ。あさ兄と遭遇するなんて!」