耳を塞ごうとして上げた両手は、耳に当てる前にあさ兄に掴まれて


「だから字の通り、恋をしている人は変な人に似ているんだよ。恋をすると変になるけど、それでも、まひるは恋をしたい?」


あさ兄の話す意味不明な言葉は、見事に私の耳に届いてしまった。


“恋をしている人は、変な人に似ている”?


そんな言葉、初めて聞いた。そんなこと言ったのは、どこの誰!?


――って、こんな変なことを言うのは、あさ兄くらいしかいないし!


このセリフが頭にこびりついて、恋の淡いイメージが、変なイメージで塗りつぶされそうだ。