気付いたら、なぜか無意識に先輩の手じゃなくて、ブレザーの裾を掴んでいた。 「――ん?どうした?これ、食いたいのか?」 深月先輩が、手に持ったお弁当箱を私に差し出してきた。 「そうじゃなくて、ですね……その、て、て、てっ」 “手を繋ぎたい”って、七文字を言えば良いだけのことなのに。 「ててて?」 先輩が、奇妙な物でも見る様な顔つきで私を見つめてくる。 その所為で、私はますます顔が火照ってた。 既に一文字はクリアしているから、残すはあと六文字なのに……なのに!!