先輩がわざわざ教えてくれてるんだから、ちゃんと聞かないと……って思うのに、耳元から響いてくる深月先輩の声にますます緊張が高まる。
「――で、この答えになる。解った?」
正直、全然解らない。
だけど、もう一回説明されたって、ドキドキの所為できっと理解なんて出来っこない。
とりあえず頷くと、先輩はフッと笑って、シャーペンを私の手の平に載せた。
いちいち心臓が跳ねる私と違って、深月先輩はまったく意識してない様子なのが悔しい。
自分だけが変に意識していることを気付かれたくないって思う反面、触れた手から私のこのドキドキが伝われば良いのに、とも思う。
そんなことを思っている内に、先輩の手が私の手のひらから離れて、再びお弁当箱へと向かった。
その男らしく節ばった大きな手を見ていたら、このまま先輩と手を繋いでみたいという気持ちが湧いてきて。

