先輩が使っていた箸を使うことが何だか照れくさくて、先輩の食べ掛けのお弁当に手を付けられずにいると、隣から「解けた」の声が聞こえた。 一先(ひとま)ずお弁当を脇に置いて、先輩から問題集を受け取る。 先輩は、問題集にサラサラとシャーペンで公式を書き記した。 「この問題の場合は、ここでこの公式を当てはめて――」 順を追って、判りやすく説明してしてくれる。 あさ兄と同じくらいに判りやすいのに、先輩との距離が近すぎる所為で、全然頭に入ってこない。