「邪魔はしないよ。見定めて、まひるに相応しい男なら、俺はちゃんと認める心積もりでいるんだから」


見定めるも何も、あさ兄の判定基準がそもそも狂ってるっていうのに……。


それ以前に、妹の彼氏候補を兄が判定するっていう行為自体、おかしいよ――なんて反論を、あさ兄が聞き入れてくれるはずもない。


「どうする?」


あさ兄が条件を受け入れるかどうか訊いてくる。これ以上は、一切妥協する気がなさそうな態度で。


それなら、私の答えは決まってる。


「好きな人が出来たら、ちゃんとあさ兄に言うから、代わりに普段は干渉してこないで」


ごめん、あさ兄。既に私のその条件は早くも守れていないけど。


「ん、判った。じゃあ、約束な?」


差し出されたあさ兄の小指に、自分の小指を絡ませる。