なぜか、最初に伝えた時よりも、ものすごく緊張する。


それに、先輩の気持ちを知りたいのに、聞くのが恐くもある。


先輩に名前を呼ばれたりするドキドキとはまた違ったドキドキが胸を襲う。


黙ったまま向かい合う私たちの間に、午後の授業を知らせる本鈴が鳴った。


「……いい加減、戻んないとやばいぞ?」


「ずるいですよ、そういうの。私は本気で言ってるのに、そういう風に誤魔化すのはずるいです!」


わずかに目のふちが熱くなってきて、握ったままの拳に力を入れ、今にも溢れそうになる涙を必死に堪える。


「――俺と付き合ったら、きっと、まひるは傷付く」


私を拒絶している様なセリフなのに、先輩の声音は心なしか優しくて、傷付くのは私だって告げる先輩の方が苦しそうに見える。


どういう意味なんだろう……?


緊張でさっぱり回らない頭で、必死にその言葉の意味を考える。