どれだけ幸せな時間を過ごしても、俺たちは必ず家に帰らないといけない。 お母さんの迎えを待つ西さんと保健室で別れたあと、急に胃のあたりが重くなってきた。なんで俺は幸せを幸せのまま持ち帰ることができないんだろう。 「やだな……」 嫌だと言っても誰も助けてはくれない。痺れるように、急激に脚の感覚が消えていくような虚無感に襲われながら、懸命に脚を動かすしかなかった。