転校手続きが済んで、あと半月ほどで夏休みが終わってしまうという頃。

 朝起きて一番に、栗ちゃんにメッセージを送った。


 『今日の授業終わったら教室で待っててほしい。ちょっと話したいことある』


 言わないといけない。

 部屋にあったほとんどのモノが茶色の微塵も面白みのない段ボールに詰められている。

 これから俺がこの荷物と共にどこへ行くのか、なんで行くのか。

 頭の中で何度も何度も話の切り出し方を練習したけれど、結局俺は最高の答えを得ることができなかった。

 俺と栗ちゃんの仲で長々と身の上話をするのは、なんか恥ずかしい。

 かといって自分の身に起こったことを簡潔にまとめることなんてできるはずがない。


 「なんて言おう……」


 寝間着のままベッドの上をゴロゴロと転がる。普段より2時間も早く目が覚めてしまったせいで、外はまだ真っ暗だ。