どれだけ泣いても、どれだけ悲しい思いをしても次の日はやってくる。

 直後はあれだけ腫れていたまぶたも、今はほとんど何もなかったようにきれいな二重まぶたに戻っている。よく女子に、男子のくせに生意気な二重ねと言われた。


 「いってきます」

 「気を付けてくださいね」


 両親に見送られることなく、佐藤さんの声を受けて玄関を出る。祖母の朝は早い。いつどこで見られていてもおかしくないから、両親は疑われないためにも自室から出てくることすらない。


 そういや、高校に入ってから佐藤さんに見送られたことしかないかも。