「僕の通っていた魔法学校は服装が自由だったな。女の子は制服っぽい着こなしをして登校する子が多かったっけ」

手がかりを掴めない不安を誤魔化すため、ひとりごとを言いながら他の部屋も見て回る。人の姿はないのに部屋の中はどれも綺麗だ。自分の足音がやけに響く。

「そういえば、外の音が全然聞こえない」

僕は窓を開けて外に飛び出す。すると、昼間の住宅街だというのに外には人の姿はなかった。おまけにどこからも音がせず、自分だけがこの街に残されたような感覚を覚える。

「この世界に人は住んでない?」

色々な仮説を立てながら街を歩く。全く知らない街だ。学校の修学旅行で訪れたとか、テレビで見た異国の街だとか、どこかで見た景色ではない。

「そもそも、どうして僕はこんなところにいるんだ?確か本を拾って意識を失ってからここにーーー」

足を止めて考えてから、僕はハッとある考えが浮かぶ。僕は急いで杖を取り出し、「スコーパ!」と言いほうきを取り出す。魔女の宅急便のように空を飛ぶことができる魔法のほうきだ。