駅からずっと歩き続けた。
もう歩き疲れた、もう無理ってときに公園のすぐそばに店があった。
店の目の前には、自販機。
ペットボトルもないから、公園の水道を溜めておくことが出来なかった。
「あああ…やっとだ…!」
節約のためピーチソーダを一本だけ買って、間接キスなんて気にするヒマもないくらい取り合うように飲んだ。
あっという間に空になって、店を見上げる。
もう錆びて剥がれて薄くなっているけどギリギリ読める、『駄菓子屋』と書かれた看板。
その下に『ふくだや』と書いてあった。
店、とは言っても、小さな二階建てだ。誰か経営者かここに住んでるらしい。
ドアはガラスでできているけどチラシが貼ってあったり、シールの剥がした跡みたいなものがあって中があまりよく見えない。
「入ってみるか」
「うん」
ドアを開けると鈴がカランカランと音を立てた。
中は四方八方駄菓子に囲まれていた。どれも値段を見れば十円〜百円ばかりで俺たちにとって天国だった。
満腹になれそうなもの、最も長期間保存が可能そうなものを選び、カゴに入れた。
でも、店員が居ない。
耳をすましてみると何やらテレビの音が聞こえる。
小さなレジの奥には部屋が繋がっているみたいだ。
家の一部を改造したのか?
俺たちが居ることが分からないのか、これじゃあ泥棒だって簡単に入れちまう。
「あのーすみませんー」
瑠奈は手でメガホンを作って言った。
「あーのーすみませーん」
それでも返事がないからレジから部屋を覗いてみる。
そこにはお婆さんがひとり、椅子でテレビを見ていた。
「あの!」
随分歳をとっているのか、耳が遠いらしい。
「あの!」
「うん?おや…」
ようやく聞こえたらしい。
よっこらせいと立ち上がってこっちにやってきた。
「おや、すみませんねぇ」
腰は曲がり、白髪も多い。
「100、50、120…えーと、1280円です」
「えっ!」
お婆さんは商品の値段を全て覚えていて、それを計算機で足し算をしていた。
今、大抵のお店はバーコードを読み取って、機械が自動で計算してくれる仕組みだ。
お金を渡すとレジ台の下からお釣りを取り出して斉藤に渡した。
「お婆さん、一人なんですか」
瑠奈が尋ねるとお婆さんは寂しそうな顔をした。
面倒臭い。何で話しかけんだよ、と目で瑠奈に訴える。それでも瑠奈は知らんぷりして、お婆さんの声に耳を傾けていた。
「息子が居たんだけどね。今年、出て行ってしまったんだよ。前はよく商売を手伝ってくれたんだけど、大きくなるにつれて『こんなの儲かんねえ』ってね」
確かに儲かってはなさそうだけど、店を改造したりすればそんなの何とかなりそうだ。
「娘がね、生まれつき身体が弱くてね。アレルギーも酷かった、喘息の発作をよく起こしてしまって。それでよく入院していたのよ。そうしたら娘につきっきりになってしまって、息子との時間が減ってしまった」
お婆さんはレジからこちらにやってきて、斉藤の頭を撫でた。
「息子が君たちくらいのときにね、夫が死んでしまったの。脳梗塞だった」
俺の頬を手を当てて、微笑んだ。
「それで私はいま一人なんだよ。娘もお嫁に行ったきり帰って来ないしね。」
「そうなんですね、大変ですね」
ありたきりな言葉を投げかける。でもお婆さんは特に気にしていない様子だった。
「まあねぇ。でもたまにこうして子供たちがお菓子を買いに来てくれるのが私の幸せだよ」
お婆さんの名前は福田明子さんと言うらしい。素敵な名前ですねと言うと「ありがとう」と笑っていた。
「また来てね」と福田さんは微笑んでいたけれど、多分もう来ることは無いと思う。
ごめん、福田さん。

歩いて、歩いて、歩いて。
休まず歩いた。
もう、ここはどこかも分からない。
俺たちがどこに向かっているのかも分からないけど、ただひたすら、生きることに必死だった。
一夜野宿し、空腹で死にそうとか、暑すぎて焼死しそうとか叫びながら歩いた。
昼は警官も多いから夜に移動するようになった。
そのうち朝夜逆転して、頭も狂い始めて、ナイフ振り回したり、ときに不良と絡んでビール分けてもらったりした。「何様だおめえ」とガチ殴り合いになって、ボコボコにされたときはすっごい痛かった。絆創膏とかそんなのなかったし、スネとか腫れ上がってて悶絶した。
そんなこんなでやっと、家から二県離れた駅に着いた。
そして安そうなホテルに入った。
この辺はコンビニやらが多いし、しばらく漫画喫茶に留まることにした。
漫画喫茶は漫画をほとんど読んだことの無い俺らにとっては宝の山でしかなかった。
「あははははっははははっ!くはは!」
俺は下らない少年漫画を馬鹿みたいに読みまくって、ゲラ笑いしていた。もう、腹筋が壊れたと嘆くと瑠奈は俺から漫画を取り上げて読んで、それまた爆笑していた。
「ひゃーはははは!死ぬっ!死ぬうう!」
次の日にはお互い腹筋崩壊していて、突きあってまた爆笑した。
天国みたいな時間だった。
こんなくだらないことで“幸せ”って思うなんて、今までなら考えられなかっただろう。
俺も、瑠奈も、自分がこんなに笑える日がくるなんて考えられなかっただろう。
しばらくはここでこれからのことをじっくり考えることにした。
「まず、あと二県は自宅から離れたいよね」
「うん。長旅になりそーだなあ」
「まずは無料の寝床を探さないと」
「野宿はなるべく避けたいな」
「こことか」
パソコンには公園の名が付いている森の写真があった。
Googleマップだ。
「この辺、廃屋が多いんだよね。川も近いし、コンビニもまああるし。丁度いいかも」
「おおー!いいね!ここにしよう」
画像を見る限りぼろぼろだし、壁には蔓が張り付いてるけど、今は贅沢言ってられない。
「取り敢えず、今日と明日はこの漫画喫茶で過ごそう。今のうちに思い切り遊ぼう!」
「よっしゃー!」
家出して気がついたこと。
コンビニ最強。
コンビニのスイーツは、どっかの有名三つ星フランススイーツレストランよりも美味い。と思う。
俺たちはひたすら漫画を読み進め、寝ることもせずいつの間にか、漫画喫茶の漫画読破していた。
バトル漫画にハマって殴り合いをしてみたり、最終的にナイフを刀代わりに振り回した。
そして瑠奈が振り回した万能ナイフが俺の左腕を掠ってスパッと切れた。
「わー痛いーよーあー痛いなー痛いなー瑠奈ひどいー!」
俺は足と血の垂れる腕をバタバタさせて、ぐずるフリをした。
アドレナリンやら何やらのおかげか、そこまで痛みを感じることはなかった。まあ掠っただけだし、浅かったし。
「そろそろ寝よ」
「うん」
幸せって、このことだったんだって、初めて分かった。心の底から瑠奈と一緒に居たいと思った。
「瑠奈、俺さ」
「うん?」
「瑠奈のことが好き」
答えは早く返って来た。
「僕も」
本当に?
やった!
顔にも言葉にも出さなかったけど、すごく嬉しかった。
「付き合って?」
「うんっ………。大好き〜」
瑠奈は俺に抱きついて来た。
小学六年生で初めて彼女が出来た。
「ずっと一緒にいよう」
「もちろん」
どうかこの日々が続きますようにと、静かに祈り続けた。
「俺さ、やっぱり思うんだよね」
「何て?」
「俺は一回死んで、生まれ変わって綺麗になってから瑠奈と向き合いたい」
今の俺のままじゃだめだ。
弱いし醜いし、汚い。
綺麗で潔く生きる瑠奈とは釣り合わない。むしろ今回だってそうだけど、瑠奈を俺の頭のおかしな部分に巻き込んでしまう。
そして綺麗になって、今度こそは男に生まれたい。
涙が反対の目に入って、また零れた。
「死にたくないよ」
生きたいよ。
本当だったら、このまま瑠奈と結ばれたのに。
俺にも責任はあるけど、世界が、未来が残酷だって解ってしまったから。
もう戻れない。
「僕もだよ」
「一緒に逝ってくれる?」
「もちろん。大好き」
「俺の方が、好き」
俺は暗い闇に呑まれていった。
『どうして女性が女性を好きになることはおかしいのかな。女性は男性、男性は女性を好きになると、どうして決まっているのかなあ?例えば、恋人の男性と女性が手を繋いだり、キスをしたりするのは別に何も言わないしおかしくないよね。でももし僕とユウくんがそのようなことをしていたら世間の目にはどう映るのかな。
「あ、レズだ」とか思うんだろうね?』
『……』
『もし僕たちのような人を認めてくれている人がいるとしてもさ、実際はそうじゃない人の方が多いでしょ?つまり、異性愛の人が「健常」で僕らが「異常」というふうに決めつけられてるんだよね。僕はこのような差別を無くしたいと思ってる。そして誰を好きになってもいい世界を創りたいと思ってるよ、ユウ』
スーツを来てカメラに語りかける瑠奈。
ああ、夢だった。
「起きて。起きてユウくん」
やけに焦りぎみな声に起こされる朝。
幸せの終わりは唐突に訪れた。
視界に入って来たのは瑠奈と刺すような光を出すパソコン。
そのパソコンに目を奪われた。
ただ単に、まだ朝五時だったなら、それはもう幸せだっただろう。
『小学六年生少女、自宅にて遺書発見・行方不明に』
瑠奈が見ていたのはとあるニュース特集サイトで、見出しにそう大きく書かれていた。
瑠奈は震える手で文章を指差す。
『四日前の午後四時前後、行方不明になった伊宮夕凪さん(12)の妹・夕花(9)が帰宅したところ夕凪さんが自宅に居らず、すぐに母親・真里さん(40)も帰宅し捜索したところ、自室に遺書があったと説明』
その下には俺が書いた遺書の画像が貼られていた。
『「娘はよく暴れる子で大変でした」「学校でもよく先生方に迷惑をおかけして」と真里さん。
「きっと遊んでます。あの子は気が引きたくてやってるんです」「早く見つけてやって下さい、大きな事件になる前に」と父親の匠さん』
ふざけんなよ!と思った。
遊んでる?気が引きたいだと?
ふざけるのも大概にしろよ!
大きな事件になったら面倒だから言ってんだろどうせ。
「くっそ……!」
瑠奈は黙ったまま画面をスクロールした。
『警視庁は虐待、いじめによる自殺、家出と誘拐の可能性とみて調査しています。』
誘拐……か。
どっちかって言うと、俺が瑠奈を誘拐したみたいな感じなんだけどな。
そういえば普通、こういう失踪事件のニュースには顔面写真が流出されるはずなんだけど、ここには無い。
親は男の子の格好をする「娘」の写真を極力撮りたがらなかったし、俺も男なのに「女」の顔の写真を撮られるなんて嫌だったから、最近の写真がなかったんだろう。
発見の糸口が減って一石二鳥だぜ。
さらに下に、実際のニュースの動画があった。瑠奈は俺の顔を見てから、再生ボタンを押した。
「今、夕凪さんの家の前に来ています!ここで、近隣にお住まいの方にインタビューをしてみたいと思います」
「ああ、伊宮さんちね。あの子、見かける度に痣だらけだったし、それによく家から声が聞こえたわ。なんて言うか……怒鳴っていた感じね」
夕凪さんに関して最近気になる出来事はありますか、という質問に颯爽と答えるおばさん。
こんな人いたっけと思うが、すぐに、歳のトイプードルの家の人だと思い出す。
その後もインタビューは続く。
「僕、たまたま開いていた窓から見えちゃったんですけど、男性……多分父親が夕凪さんを殴ってたのを。結構前の冬には、母親が夕凪さんをベランダに出して鍵閉めてたの見たことあります。はい、夜です」
「あーあの夕凪ちゃんね、すごい印象的な子だったから記憶に残ってるよ。夕凪ちゃん、髪型も洋服も口調も、とにかく全部男子みたいでさ。つい最近まで男の子だと思ってましたよー。お母さんはそれが嫌だったらしいけど。いやぁ礼儀正しい子でさ……見つかって欲しいよ」
学ランの高校生、あまり上手くいってないサラリーマンの真田さん。
どちらも挨拶を交わすくらいしかしない関係だ。
「ああ、ははっ。はい、ママ友です〜。ああ〜はい、私によく相談してくるの。夕凪ちゃんの素行が悪いって。まぁ元々ちょっと荒れてた子だったからね」
あたかもこうなることが分かっていたかのように語る近所の人たち。
なんだかうざったいなと感じる。
そこで映像は俺の学校を映した。
校長が廊下で映される。
「いじめとかの現状ははどうなってますか?」
「と、特に無かったかと……」
「今回の事件について何か関係することはありませんでしたか?」
「特に無いかと……」
そこでカメラはぐらりとずれて、ある少年を映し出した。
「ふざけんなよ!あっただろいじめ!しらを切るんじゃねよ!」
どうして。
廊下の奥から走って来て、先生たちに取り押さえられている。
「ちょ、ちょっと」
「おい。何を言うんだね君は!」
校長はしらを切り続けた。
「お前らみたいなクソ教師のせいであいつは死ぬんだよ!」
怒鳴る彼の後ろに、綾奈がいた。
「やめてよ。金城くん」
涙声で言った。
そこで映像はぷつりと途切れ、アナウンサーたちを映し出した。
「いやー大変ですね」
「まだ小学生ですもんね」
それぞれの勝手な意見を並べる、ニュースキャスター。独断も偏見も、いい加減にしてくれよ。
そしてそれが当然かのように切り出した。
「ですね。続いてはっ!なんとあの動物園でゴリラの」
そこで映像は終わった。
なんて雑な編集の動画なんだろうかと半ば呆れる。
おかげで、自分の身を心配するべきのところで少し笑ってしまった。
何が「ですね、続いては!」だよ。
動物園のゴリラがどうした?
急にテンションが明るくなるの、面白すぎ。女優になるべきだよ君。
隣をちらりと見ると、拍子抜けするくらいにポカンとしていた。瑠奈も同じことを思っているのだろうか。
瑠奈は捕まることを怖がっているみたいだけど、俺はむしろ四日間もメディアに晒されなくて遅かったなと思っていた。もっと早くに捕まると思っていたんだ。
俺はすることもなく、頁をスクロールしていく。
一番下に、コメント欄があった。

匿名[223]
〉出た世間騒がせ屋さんww
匿名[222]
〉クソ迷惑
匿名[221]
〉金城くんw伊宮ってやつの彼氏かい?
少年A
〉よく小学生が四日間も逃げ切れたなw
匿名希望者
〉たかが家出
88888
〉警察が関与するほどの事件かよ
匿名[220]
〉無力な猿はどうせすぐ帰ってくるさ
匿名[219]
〉続いて、うほうほ動物園のゴリラが家出をしました!
匿名[218]
〉校長、挙動不審すぎww
匿名[217]
〉絶対イジメ&虐待だろ
特命
〉親が殺した説
 〉それなw人殺しそうな顔してる

俺を馬鹿にするようなコメントと事件の真相を自己解釈したコメントが大半だった。
そもそもこんなところにコメントする輩は大抵が物好きな奴か暇な奴なんだろう。
そしてとあるコメントが目に止まった。

jjd&
〉このニュースには続きがあるよ!かなりヤバイw

コメントと共にURLが貼られていた。
瑠奈は黙ったままそれを押した。
飛んだのは別の記事が掲載された同じニュース特集だった。
『小六少女二人、駆け落ちか?誘拐か?』
明らかに俺たちのことだった。
『先程の伊宮夕凪さんが四日前に失踪したニュース報道後、同じ住宅街にお住まいの斉藤瑠奈さん(12)が同日に行方不明になっていることが明らかになりました。
自宅には夕凪さんと同じく遺書が発見されたと分かっています。』
その下に、俺の記事と同じように遺書の写真が貼ってあった。その横に瑠奈の顔写真が晒されていた。
『警視庁によると、二人は学校が同じだということです。
瑠奈さんのご両親にインタビュー。
瑠奈さんの母・紀恵さん
「娘は学校から帰ってくるとほぼ毎日痣だらけでした。」
「伊宮夕凪さんにいじめから庇ってもらったとよく聞いていました。」
「娘はとてもいい子です。家出するような子ではありません。きっと誘拐されたんです。」
瑠奈さんの父・正人さん
「娘がいじめられていると学校に何度も訴えましたが、娘の言動に原因があるとか、そんなことは無いと認めてくれませんでした。」
「無事帰ってくることを願っています。」
とのことです。』
下にまた動画があった。
「校長先生、これに関してどうお考えですか」
「そんなことは無いと言ったはずだ!」
「真実はどうなんですか?」
冷静に質問を繰り返すレポーターに油を注がれたのか、怒りが伝わってくる。
「斉藤も伊宮も、嘘を吐くな!今ならまだ間に合う。早く戻って来い!」
校長は茹でタコみたいに真っ赤になって叫んだ。
「私に責任を押し付けるなーっ!!」
いや、こっちのセリフだ。
続いて児童たちにインタビューを始めた。
最初にインタビューされたのは同じクラスの人だった。確か……林田だっけ。
男子にしては大人しく、身長は小さめ。可愛らしい喋り方で一時いじめられていたとか。
「いじめはありましたか?」
「ありました」
ハキハキと答える。
「原因は何ですか?」
「多分、二人共トランスジェンダーで……」
違う。瑠奈はXジェンダーだ。
「どのようないじめですか?」
「みんなから嫌われていました。無視されていて、ノートに落書きとか、破かれたりとかもありました。数人からは殴られてました」
「先生はどのような対応を?」
「見て見ぬふりです。何度か、伊宮さんが先生に殴られているというのも噂で聞きました」
「あなたはそれについて、どう感じましたか?」
「助けたいと思っていたけど、わ……自分がいじめられるんじゃないかって思って、怖くて出来ませんでした……それでも伊宮さんたちは強くて。かっこいいなと思いました」
次は偶然に綾奈だった。
アナウンサーは同じ質問を繰り返す。
「いじめは……」
綾奈は何故かそこで口籠った。
顔を顰めている。どうやら返答に迷っているようだ。
「ありませんでした」
カメラに向かってハッキリと言った。
どうして?俺がいじめに遭っているところを何度も目撃していたのに。
どうして嘘を吐くんだよ!
「他の子は『ある』と言っていましたが?」
「知りません」
「あなたは彼女たちのことをどう思いますか?」
「……滑稽だなと思いました」
その後も二人に同じような質問をしていた。二人ともいじめは「あった」と答えていた。
コメント欄はまたしても最悪だった。

匿名希望です
〉駆け落ちは草
匿名[429]
〉最近の小学生はマセすぎるw
匿名[428]
〉今回の事件で少女二人がいじめの世界を救う!!
 〉私もこの二人を応援してます。
 〉私も!仲間がいて嬉しい〜
 〉ネタだよバーカ
nan***
〉完全に学校側に責任がある
匿名[427]
〉わしの家で匿ってやろう二人共

俺たちの行動に賛成してくれる人たちも少数いるらしい。
まあ本気で応援してくれる人と、面白がってお高いところから見物を楽しむやつらの半々だけど。
「どうする?」
「さぁ」
俺はコンビニに出かけようと部屋を出ると、店員がいた。
そこに瑠奈が部屋から出てきてしまった。
じろりと鋭い目で瑠奈を見た後、店員はすぐに受付へ戻って行った。
まずい。バレたかもしれない。
俺たちはもう一度部屋へ戻り、瑠奈に告げた。
「今すぐここを出よう」
「うん」