ーーん? それってどういう意味?
愛梨さんの声に耳を傾けつつ、その言葉の真意が掴めず首を傾げながらも、真意を確かめようと愛梨さんの話に耳を集中させていると。
【私はこうして死んでからも創一郎さんや創の傍にいられるんですもの。それ以上望んだらバチが当たるわぁ。ってことで、私はそこまで落ち込んでないから気にしないで。菜々子ちゃんは自分のことだけを考えてくれなきゃ困るわぁ。これは、創の母親として、そして菜々子ちゃんにとって二人目の母親としてのお願いなんだから、聞いてくれなきゃ泣いちゃうんだからぁ。それに、ほら。創が心配してるわ。だから元気出して。ね?】
もうこの世には存在しない、幽霊となってしまっている愛梨さんだからこそ言える言葉が出てきて。
それはきっと、いいや、絶対に、愛梨さんへの気遣いを怠ってしまった私がそのことで自分を責めないように、敢えてそういう言い方をしてくれたに違いない。
けれども、ここで、私がずっと後悔していたり、メソメソしていたりすると、愛梨さんの優しさが無駄になってしまう。
ーーここは素直に愛梨さんのご厚意に甘えておいた方が賢明だ。
ようやくそう思えるようになって、愛梨さんの言葉で促されるままに創さんに視線をやると、とっても心配そうな創さんのイケメンフェイスが待ち構えていて。
私が慌てて、ぎこちないながらもにっこりと微笑んで見せると、創さんもようやくホッとしたように極甘の蕩けるような笑顔を向けてくれた。
もうそれだけで、さっきまでのことなどスッカリ忘れて、幸せ一色ピンク色に染まりきっていて、自分でも単純だなとは思うけれど、本当に幸せなんだからどうしようもない。
そうしてまたしばらくの間、和やかな雰囲気のなか桜小路家の面々と楽しいひとときを過ごして、今度は伯母夫婦と恭平兄ちゃんの待つパティスリー藤倉へと向かうこととなった。
勿論、幽霊である愛梨さんも一緒だ。
