『いやはや、可愛げのない息子を持つと苦労するよ。けど、その息子がこんなに可愛いお嫁さんを連れてきてくれたんだから、こんなに嬉しいことはないよ。ふたりとも本当におめでとう』
始めこそ、親子げんかのようなやりとりがあったものの、そこに、道隆さんが加わったりして、皆心底愉しげで、なんやかんや創さんと言い合っていたご当主も、最後には創さんと私の結婚のことを祝福してくれていた。
そんな私たちの周りには、菖蒲さんや貴子さんに、創太くんの愉しそうに話す声や笑い声が溢れていて、終始和やかな雰囲気に満たされている。
実は、今日ここに伺うまでは、少々不安な心持ちでいたのだけれど。
どうやら、これまで家族と向き合ってこなかったご当主は、今回のことで相当反省していたらしく、あれからすぐに家族とも話し合ってくれていたらしい。
その時に、菖蒲さんも菖蒲さんなりに、なかなか懐いてくれない創さんの方からいつか歩み寄ってきてくれるのを待っていたのが、どんどん溝が深まっていき、それでもなんとか創さんのことを理解しようと週一で部屋を訪問したりしていたことで、より一層の誤解が生じていたことが分かったらしかった。
因みに、創さんのアレルギーのことを知ってはいたけれど、化学物質アレルギーのことまでは知らなかったらしく、香水に関しても、わざとではなかったらしい。
まぁ、創太くんに関しては、大学に入ってから少々羽目を外していたことから、私にあんな態度をとってしまったらしいのだけれど。
そのことに関しても、ここに伺ってすぐに本人に謝ってもらったので、水に流すことにした。
兎にも角にも、色んな誤解も解けて、長年のわだかまりも解消されつつあるようで、やれやれと言ったところだろうか。
