前回、ご挨拶に伺ったあの日からまだ一月も経っていないけれど、桜小路家の豪勢な本宅に創さんと一緒に足を踏み入れるとき、なんだか酷く懐かしい感じがした。
それから、感慨深い気持ちにも。
だって、あの時はまだ創さんの気持ちだって知らなかったし。
それがまさか、創さんと気持ちが通じ合って、もうすぐ正真正銘の夫婦になるなんて、そんな日が訪れるなんて夢にも思ってなかったんだもん。
――ーこんなにも幸せでいいのかな。
なんて心配になっちゃうほど、毎日が幸せでどうしようもないくらいだ。
今もこうして、隣に並んで椅子に腰を下ろしている創さんは、片時も離れず傍にいてくれて、大きなテーブルの下では、私の手をしっかりと大きな掌に包み込んでくれている。
さっきだって、創さんの父親であるご当主を始め、継母の菖蒲さん、弟の創太さん、伯母の貴子さん、そして私にとっても伯父となる道隆さんに、結婚のご報告をする間中、手を繋ぎあっているのは勿論のこと、時折何度も、ごくごく自然に見つめ合ってしまっていて。
その都度その都度、相変わらず茶目っ気のあるご当主と創さんのなんとも仲睦まじく微笑ましい? 親子の会話が繰り広げられていたのだけど。
『おやおや、誤解が解けた途端にえらくアツアツになっちゃって。この前、深刻そうな顔で頭を下げに来たのは誰だったのかなぁ』
『可哀想に。親父も年取ったせいで物忘れが激しくなったんじゃないのか? まぁ、道隆さんがいることだし、いつ隠居してくれても構わないけどな』
『いやいや、創くん、そんなこと勝手に決められても困るよ。まだまだ若いんだし、創一郎くんに頑張ってもらわないと。それに僕には、先代のご当主から仰せつかった役目を果たさないとならないからねぇ』
『ほら見ろ、創。道隆兄さんもそう言ってくれてるじゃないか。まだまだ若いし、頭もしっかりしてるんだ。年寄り扱いしないでくれないか』
『ハイハイ。そういうことにしといてやるよ』
