創さんのプロポーズともとれる言葉に、驚いてしまった私はしばらくの間ただただ呆然としてしまっていて。
そんな私の反応に、創さんは不安になってしまったようだった。
少しして、創さんの胸に頬を擦り寄せたまま呆けてしまっている私のことを創さんが心配そうな面持ちで覗き込んできて。
「……あっ、否、別に今すぐじゃなくても構わないんだ。菜々子がいつか俺と結婚してもいいと思える日がくるまでずっと待っているつもりだ。今は、ただこうして傍に居てくれるだけで構わない」
さっきのプロポーズともとれる言葉についての釈明を始めてしまった創さんの表情には焦りの色までちらつき始め、それだけ私のことを想ってくれているというのがありありと見て取れる。
ーーあれは夢じゃないんだ。本当のことなんだ。こんなにも想ってもらえてるんだ。
ようやく正気を取り戻すことができた私は、もういてもたってもいられなくなってきた。
このまま天にも昇ってしまいそうな勢いで飛び上がった私は、突飛な行動にでた私のことを驚愕の表情で見つめたままでいる創さんにムギュッと抱きつきつつ。
「……あっ、いえ、そうじゃなくてっ。ただ夢なんじゃないかと思って、吃驚しちゃっただけなんです。だから、もう一度、一度だけでいいので、もう一回だけ言ってもらってもいいですか? 目と耳にしっかりと焼き付けておきたいので、お願いしますッ!」
ぐいぐいと勢いに任せてそう迫ってしまっていて。
今度は、創さんの方がしばし呆然と固まってしまっていたのだけれど、すぐにこちらに舞い戻ってきてくれた創さん。
ホッと胸を撫で下ろしている私に向けて、創さんは、
「もう二度と言わないからな」
なんてちょっと不貞腐れ気味な声音でそう言ってきて、少々恥ずかしそうにしながらも、ちゃんと言い直してくれて。
「……菜々子には、これまで通り、一生傍に居て笑っててほしいと想ってる。絶対に後悔なんかさせないつもりだ。だから、俺と結婚してほしい」
「はいっ。喜んでっ!」
今度こそめいっぱい明るい声音で元気よく即答した私は、照れくさそうにイケメンフェイスを仄かに紅く染めながらも、嬉しそうにはにかむ創さんの胸に飛び込むようにして抱きついてしまっていたのだった。
それからは、愛梨さんのこともあってあんなに躊躇していたというのに。
また、初めての飛行機での長旅で疲れているだろうと気遣ってくれていた創さんも。
ふたりとももうすっかりそんなことなど忘れて、どちらからともなくキスを交わしたのを皮切りに、そのまま甘い甘い夢のような一時に身を投じてしまっていたのだった。
まぁ、そんな訳で、私たちは結婚するために再び日本に舞い戻ることになって、現在、創さんのご実家である桜小路家の大広間で結婚についての諸々の報告をたった今終えたところだ。
