夏空、蝶々結び。





外はまだ明るい。
こうして、太陽が強いこともある。
秋が近いなんて、信じたくはなかった。


「大人しく、頭冷やしてな。……俺が帰ってきたらさ」


私の気持ちなんかお構いなしに、時は刻み続けているのに。


「気のせいだって、急に告白されて不安になっただけだって言えよな。……約束」


私を部屋に送り届けると、勝手にそう言って――。


「ゴン!? 」


――すっと消えてしまった。

承諾も得ず、言いっぱなしの約束なんて。


(そんな約束……)


私が守れるはずがない。




・・・


一時間、二時間。
やっぱり、ゴンは戻らない。


(頭冷やせって……いつ、帰ってくるのかな)


一時でも恋人になれるなんて、期待したわけじゃないけれど。
それでも、こんなふうに夜を明かしたくはなかった。
ただ、一日でも数時間でも多くゴンと一緒に――……。


(……そうだよ)


こうしていてはダメだ。
私達に残された時間は、本当に本当にあとちょっと。


(ごめんね、ゴン)


私は飛び出した。

このまま、ゴンを引き留めることはできない。
いくら悲しくても、彼は長くここにいてはいけないのだ。
どうしたって時は流れ、止めてはおけないのなら。

せめて、ゆっくり感じていたい。
この、夏の終わりから秋へと移り変わる曖昧な時間を、あの名無しの幽霊の側で。