夏空、蝶々結び。




・・・




「先輩、また溜息吐いてる」


翌日。
リフレッシュルームにぽつんと一人でいたところを、カナちゃんが声をかけてくれた。


「疲れてます? 休憩、ちゃんと取ってないからですよ。死に物狂いで働いたって、いざという時会社が何かしてくれるわけじゃないんですから。無理しちゃダメです」


休憩時間は昼休み以外「気にせず、常識の範囲で」取っていいことになっているから、個人差が出やすい。彼女の言うことも一理ある。

そろそろ戻ろうか、でも……という考えを繰り返していたけれど、有り難くお茶を頂くことにした。


「何かあったんですか? 」


そんなに何度も溜息を吐いていただろうか。
そういえば、前にもゴンに、


『それ以上幸せ逃げたら、どうすんの』


なんて――……。


(……馬鹿)


嫌なのに、考えたくなんかないのに。
どうしたって、私の頭はゴンと過ごした日のことを思いだし――思い出にするのを怖がるのだ。


「話したら、すっきりするかもですよ。前の先輩には、こんなこと言いづらかったですけど」


素直なカナちゃんに苦笑する。
確かに私的なことは話しにくかっただろうし、『ギスギス』してて――……。


(……ほら、また)