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その日の朝は、大変だった。
「……何着よう」
夜中悩んで、結局決まらず。
朝、姿見とクローゼットを行き来しても、やっぱりピンとくるものがない。
「普段から、可愛い格好してないから。これに懲りて、いつ誘われてもいいようにしとけよ」
散々後悔したことを、改めてゴンに言われ。
ようやく支度を終えた。
「デート、頑張れよ。かなえちゃんのお一人様ライフに、終止符を打つきっかけになるかもしれないんだからさ」
デート。
前向きに考えれば、これもデートか。
もちろん緊張するし、ドキドキもする。
でも、同時に別の考え事もできるなんて、私ってこんなに器用だっただろうか。
(ゴン……)
――どうしたら、彼を解放してあげられるのかな。
『彼氏がいない』
――そう告げたことが、ほんのちょっとでも変化をもたらしたのだろうか。
嬉しいはずなのに、どこか焦りを覚えてしまう。
もう何年も続いた、何も起こり得ない関係。
それが突然変わり始め、戸惑っているのか。
それとも――こんなことでゴンが満足して発ってしまったらどうしよう――そんな心配をしているのか。
「あ、どうせなら、あの下着着れば? ま、出番はないだろうけど」
ゴンの挑発を聞き流しながら、頭の中は次第にそれに埋め尽くされる。
(何か、方法はないの? )



