夏空、蝶々結び。



・・・



「雅人さんも、多少なりともかなえちゃんのこと気にしてるってことだよな。何でか分からないけど」

「……そうなのかな」


いちいち引っかかる言い方たが、反論はない。
もし、本当にそうだとするなら……私自身謎だとしか言い様がなかった。


「どの程度かは不明だけどね。じゃなきゃ、急にあんなこと訊かないだろ」


びっくりした。
驚きすぎて、否定するのが大分遅れてしまったくらい。


『…………い、いませんよ!? 』

『……そ、そうか』


力いっぱい否定したつもりが、声が上擦ってしまい……ちゃんと先輩に届いたかどうか。



『………』

『………』


その後も、ようやく誰かが出社してくるまで、おかしな空気が漂っていた。


「で、でもさ! 本当にふっと思っただけかもしれないし」


いまいち舞い上がれない私が、変なのだろうか。
どうやって謝るか、謝った後どうなるのか――そればかり考えていたから、予想外の発言に動揺が大きいからだとは思うのだけれど。


「……あのさ。調子に乗ると思って、言わなかったんだけど。あいつが怒ったのって、かなえちゃんが馬鹿だからだけじゃなくて」


うんざりとした様子で、長い足を組む。


「心配、だったんじゃないの」