夏空、蝶々結び。


(……すみません、先輩。先輩のせいじゃないんです……!! )


悪いのはむしろ私だ。
でも、これを他にどう説明したらいいのか。
打開策を必死に考えていると、先輩は大きく息を吐いてじっと見つめてきた。


「謝って済む問題じゃないのは分かってるし、本当は責任取るからって言いたいけど……それも許される立場じゃないよな」


謝るのは私の方なのに、先輩は悲しげに笑って。


「この状況で言ったって、気持ち悪いだけかもしれないけど……せめて、言わせて」


――本当に好きなんだ。……ごめんな。


「……先輩。嘘吐いてごめんなさい。私……最近、すごく悲しい別れをして」


その言葉に目を丸めて、すぐに納得したと小さく頷いた。


「あの、だから……」


『待ってもらえますか』なんて、すごく卑怯だ。


「……ごめん。そんなに長くは待てない」


当たり前だ。
先輩がそんなことする必要なんて、全く――……。


「だから……ゆっくり口説かせて」


――ないのに。


「……それもダメか? 」


ここまで言ってもらえても、私の胸は以前みたいにドキドキしてはくれない。