夏空、蝶々結び。





・・・



「ん……」


朝日が眩しくて目が覚めた。
一人暮らしの女が、カーテンも閉めずに寝るなんて。


『ったく……少しは気にしろよ。ま、そんな部屋、誰も覗く気にもならないだろうけどな』


ゴンが言いそうなことが頭に浮かび――……。


(……そっか)


もう二度と聞くことはないのだと、昨夜のことを思い出した。


『おはよ、かなえちゃん。よく寝てたけど……まだ、風邪治ってねぇの』


そんな、優しい声だって。

いつの間にか治った夏風邪のように、この苦しさもいつか和らいでくれるのだろうか。


(……よく眠れたな、私)


号泣したはずなのに、頭もズキズキしないし、頬に触れても涙の跡も感じられない。


(……ありがと、ゴン)


お礼を言って、深呼吸。
泣き崩れてばかりもいられない。
今日は仕事だし、それに――……。


『笑っててよ』


そう言われちゃったから。

さて、支度をしなくては。


(………でも、なんか忘れてるような……)



「ん……佐々……? 」


(そ、そうだった……!! )


ゴンの馬鹿。
この状況をどうしと言うの。