夏空、蝶々結び。



「……うん……」


口でも肯定し、首も縦にした。
なのに――……。


「泣き虫」


苦笑いしながら、そっと親指が拭う。
軽くキスをしたかと思うと、すぐにパッと体を離した。


「ゴン!? 」


同時に、先輩の身体がドサッとベッドに投げ出される。


「この身体、やっぱ気に食わない」


目の前には、いつしか見慣れていたゴンの姿。


「こういうのって、縁だからさ。もしかしたら、いつかどっかで……お互い今の姿じゃなくても。また会うかもな」


『あんた、しぶとそうだから、先は長そうだけど。……じゃないと、ダメだからな』


失礼なことを言いながら、そう釘を刺して。


「最初にキスしたのは俺だってことで、満足してやるよ。……もう一人で、あんなふうに泣くなよな」


(あんなふう……? )


「……バイバイ、かなえちゃん。……大澤、振るなよ」


意味を尋ねる前に、別れを告げた。


「……バイバ……」


ぺたんと座りこむ。
質問も返事も受け付けず、ゴンはいってしまったのだ。

おかげで、やっぱり――最後まで言えなかった。