それを自ら否定するように、キスを再開する。
ゴンが呼吸する度、私の指が彼の腕に当たる度に、戸惑うように少しだけ身動ぎをした。
「ゴン……」
もう泣くのは嫌だ。
たとえ一度きりで、姿形は彼でないのだとしても。
好きな人との夜であることに、違いないのだから。
「かなえちゃん」
そう呼ばれ、ますます幸せな気分になる。
ここにいるのはゴンなんだ。
「……っ……くそ……」
肩が空気に触れた途端、僅かにレースが肌を擦った。
けれど、私が目を閉じたのは痛みからではない。
偶然身に付けていた赤色に、ゴンが息苦しそうにしたからだ。
「……っ、できねぇよ。だって、そうだろ……? 」
(……そう、だよね)
「今、あんたに触れたって、それが俺の身体じゃないなら。どうしたってこいつなら、許せるわけない」
ちょっとでも私を想ってくれるのなら、そんなの嫌に決まっている。
私の目に映る、先輩の顔が。



