「お望みどおり、中身は俺。抵抗しないんだろ? ……いいと思ったんだもんな」
先輩らしく、きっちり留まったシャツのボタン。
ゴンには窮屈だったのか、苛ついたように乱暴に外した。
「……しないよ」
心臓が鳴っている。
それはつまり、ゴンの言うように私は望んでいるのだから。
「お得だしな。二人同時に味わえて」
触れるか触れないか。
いや、先輩の指なのだから、確かに触れられているというのに。
幽霊のゴンのものではないかと錯覚するほど、優しすぎた。
なおも恐る恐る、指が触れる。
かなりの葛藤に苛まれるのか、頬に辿り着くまで私の方がもどかしく感じてしまう。
「そういう酷い台詞はね、ゴン。そんなに苦しそうに言ったって意味ないよ」
あまりに辛そうで……とても、私から導くなんてできない。
「……っ……」
私達は、一体どうなりたいのだろう。
答えは分かっているのに、二人してどこかで実現を拒んでいる。
「相変わらず……、っ……可愛いこと言えない口……」
無茶を言わないでほしい。
唇を塞がれて、どうやって可愛いことを言えというのだ。
抵抗はしないが、文句は言いたい。
なのに、声を発する間もないほど、早急に塞がれ続けた。
「まだ……言える? 俺があんたに、何もできないなんて」
『言いたくない』が正しい。
だから――息が苦しいふりをした。
「だから、最後まで……これ以上近づかないようにしてた。だって、ムカつくだろ。俺は、大澤と……他の生きてる男と違って、これ以上」
――あんたの中に、入り込めないってのに。



