「警戒してるの、してないの? 」
耳元で囁かれ、身を捩る。
「こうなると思わなかった? それとも、やっぱり期待してた? 」
――そうだ。
私はどこかで安心しきっていて、同時に期待もしていた。
狡さを認めてしまうと、自分に失望したのか涙が滑り落ちていく。
「……そこで泣くんだ」
吐き捨てられ、いっそう抵抗して睨む。
それに腹が立ったのか、苛立たしげに封じ込め――私をベッドに放り出した。
「優しい顔してたって、奪われたくないとか……自分のものにならないなら……なんて、俺も思ってたかもよ」
言葉と表情がちぐはぐだ。
押し倒された私よりも、覆い被さっていながら距離を詰めない彼の方が傷ついた顔をしている。
「……何で、落ち着いてるの」
何も言わなかった。
言えないのではなく、言いたくはなかったのだ。
「さっきみたいに暴れて、突き飛ばしたらいいだろ。まさか、本当にこのまま襲われてもいいって思ってる? 」
激昂しているようで、悲痛な叫びに私は観念した。
抵抗なんてしてみたって、部屋に入れた時点ではっきりしている。
「多分……それでもいいって思ってた」
私の行動は、そうとしか説明がつかない。
「……は? そんなタイプじゃ」
「できないだろうな、とも思ったよ」



