李世先輩は私のことを知り尽くしている?


それなのに……俺は陽茉ちゃんや橘ってやつと、目を合わせようとしない。


合わせられない。




口ばかりが、適当なことをしゃべって。




しかも、橘くんが「陽茉」って呼ぶものだから、さらにダメージを負ってしまう。





「そっかあ、『和くん』に『陽茉』かあ。なるほどね~」





……早く聞くんだ。早く二人に、確認するんだ、俺。




微妙な空気が流れる中、橘くんが俺をのぞきこむようにして尋ねる。





「菊里先輩、ひょっとして、オレと陽茉が付き合ってるんじゃないかって思ってます?」




図星だったので、動揺が表に出ないように努めながら、どうにか誤魔化す。



すると、陽茉ちゃんが慌てた様子で口をはさんだ。





「せ、先輩、違います!和くんは、ただの幼なじみですから!」