李世先輩は私のことを知り尽くしている?

「和くん、どっちが勝つかな?」

「うーん、三年生の方も、実力のある人だからなあ。オレにはわからないや」

「そっか……」



バーが上がり、先攻である三年生が構える。



『おおっ……‼‼』



ギリギリ、バーの上を抜けた。




次に、李世先輩。





『おおおっ……‼‼』




先輩も、バーに触れることなく飛び越える。



でも、もう余裕はなさそうだ。





――陽茉ちゃんに応援してもらえたら、がんばれちゃうな。




李世先輩の言葉が、ふと頭に浮かぶ。



お世辞だとは思うけど、私が、少しでも役に立てるなら……!



意を決した私は身を乗り出して、おもいっきり叫ぶ。




「李世先輩、がんばってくださいっ……!」




周りの人がじろっと私のことを見たけど、奥の方にいる先輩には、届かない。



……ダメだ。これ以上の声は出ない。




下唇を噛んで、乗り出していた身を引こうとした時だった。


隣に立つ和くんが、すうっと空気を吸いこむ。




「菊里せんぱーーーーい!!!!!!!!」